松本清張の日本史探訪

三世紀のヤマタイ国から江戸時代後期の政治家まで。タイトルが示す通り、日本の歴史を彩った人物や出来事についての対談集。

最も読み易かったのが戦国期についての対談だ。細川幽斎、本能寺の変、豊臣秀吉などについて語られた個所はゆとりを持って読めた。彼らは以前に読んだ小説にも度々登場していたからだ。中でも、海音寺潮五郎との対談「豊臣秀吉」が興味深い。史上、最も人気が高いと言って良い豊臣秀吉についての対談相手に、味のある歴史作家を持ってきたあたりが歴史・時代小説ファンの心をくすぐる。 続きを読む

ユーゴスラヴィア現代史/柴 宜弘

「「第二次大戦後のユーゴは、「七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、二つの文字、一つの国家」という表現に端的に示される、複合的な国家であった。」」(本文より)

タイトルに「現代史」とあるが、実際には数世紀前からの近隣諸国を含むバルカン半島の歴史が述べられている。ユーゴ建国までの流れや建国後の問題、そして内戦勃発への複雑ないきさつから連邦解体まで。前述した端的な表現からある程度想像できるように、紛争の種があちこちに存在していた。 続きを読む

ユダヤ人の歴史/ポール・ジョンソン/阿川尚行、池田 潤、山田恵子 訳

ユダヤ教の成立から始まり、やがて勃発するキリスト教との紛争。

そして世界中に離散したユダヤ人たちは類希なビジネスセンスを発揮し各地で優遇され、また科学や芸術などあらゆる分野でも活躍するが、一方で虐殺と迫害を受けつづける。 続きを読む

ビゴーが見た日本人/清水勲

フランス人画家ジョルジュ・ビゴーが当時滞在していた明治日本をユーモラスに、時には皮肉を込めて描いた風刺画集だ。

当事者である日本人にとっては当たり前すぎて気にも留めないような日常がみずみずしい感覚で取り上げられている。例えば、職業によって異なる身なりの変化、ふんどし、女性が働く姿や裸体、男女の風俗など、異国文化に溶け込まずしては決して触れる事が出来なかったであろう日常の細事が描かれている。ビゴーの旺盛な好奇心 に驚嘆だ。 続きを読む

イスラーム文化/井筒俊彦

イスラム社会は正統派といわれるアラブのスンニー派と、表面的な言語表現からさらに内的意味を探ろうとするイラン人を代表とするシーア派の二つに大別され、さらに各派のなかにも支流がある。

彼らの生活は聖典「コーラン」に基いており、巡礼に関する規則や日常生活の細部に至るまで、実にきめ細やかに規制されている。「コーラン」には神の言葉が記録されているといわれる。神の啓示を受けた預言者ムハンマドが、大体西暦610頃から20年間かけて編纂した。この20年間を二分し、前期10年をメッカ期、後期10年をメディナ期と呼んでいる。 続きを読む