天然まんが家/本宮ひろ志

漫画家・本宮ひろ志の自伝。

私も彼の漫画をいくつか読んだ。途中までは面白いのだが、なぜかエンディングがいい加減だなぁ、というのが私の漠然とした感想だった。著者は、途中で放り投げてしまう癖がある、と言っていた。

歴史ものの中で例えて言うと、三国志をベースにして描いた「天地を喰らう」。しかし、岩崎弥太郎を描いた「猛き黄金の国」、織田信長を描いた「夢幻の如く」などは比較的まとまっていたようで、内容も良かった。著者も本書でそれを認めていた。その他、「サラリーマン金太郎」はドラマ化されたこともあり、ご存知の方も多いはず。

そして肝心の本書の内容だが、最近の漫画には山場が無い、と著者は言う。さらに、雑誌を引っ張っていくような強力な作品が見当たらないのだそうだ。雑誌を買うよりもむしろ特定の漫画家の単行本を買う傾向にあるらしい。

最近、私はあまり漫画を読まなくなったが、上記の点が特に印象深かった。 そして、本書に限らずやはりゼロから成り上がった人間の自伝というものはすさまじく読者をひきつける力がある。波乱万丈。悲哀と歓喜。が、しかし人の自伝を読んで喜んでいる場合ではないな、と最近思う。

読了: 2001年11月