レディ・ジョーカー/高村薫

人生に疲れ、目的を失った男たちが犯行を決意。数十年前、某一流企業での雇用問題につけ込み、その会社にゆすりをかける犯行グループの真の目的とは一体。

そのゆすりや犯行の手際は実にスマートだ。その内容は、ある意味「グリコ・森永事件」を彷彿とさせる。著者は独自にグリコ・森永事件を調査し、著者なりの推理を小説として表現したのではないだろうか。それが「レディ・ジョーカー」であり、小説のモデルが「かい人21面相」ではないかと。

この作品は「マークスの山」、「照柿」に続く3部作。3作に共通して合田雄一郎という刑事が登場するが、合田やその取り巻きたちから感じられる疲労感と救いようの無い孤独が、著者の作品世界に浸る心地良さに一役買っている。疲労の極限にある危うい精神状態。合田と犯罪者たちは一体何が違うというのだろうか。紙一重なのだ。

読了:1999年 4月
  

 

ちなみにこの作品は映画化、ドラマ化されている。

ドラマ版は全7話からなる。上川隆也氏が合田刑事役だということで観たのだが、もっとも印象に残ったのは半田刑事役を演じた豊原功補氏だ。彼の演技こそが、この作品の世界観を表していたように思えた。城山社長役を演じた柴田恭平氏も、いつの間にか渋い演技をする良い役者になっていた。