初秋/ロバート・B・パーカー/菊地光 訳

私立探偵・スペンサーシリーズ。ハードボイルドファンにはお勧め。

探偵ものというよりは、人間ドラマの色合いが強い。屈強の男・スペンサーと心に傷を負った少年ポール。スペンサーの働きかけだったり、それによって変わっていくポールの成長ぶりだったりが感動できる作品だ。

シリーズでもお気に入りの一冊。続編の「晩秋」ではより成長したポールが登場する。

他にハードボイルドの書き手として有名なのがレイモンド・チャンドラーだ。彼の作品も随分読んだが、私はロバート・B・パーカーの作品の方に一票投じたい。まぁ、好きな作家とは言え当たり外れがあることは否めないが・・・

彼の作品が面白いのはひょっとすると菊池光氏の翻訳が巧いからだろうか、とも思い、原作の「EARLY AUTUMN(邦題=初秋)」を読んでみた。当然ながら物語の面白さそれ自体は変わらない。原作を読む愉しみを味わったが、同時に菊池光氏の翻訳の巧さに改めて唸ってしまった。