軍師 竹中半兵衛/八尋舜右

長年、青びょうたんのうつけものを装ってきた半兵衛が、僅か十六名の手勢を率いて主人の城 (稲葉山城) を一夜にして奪い取る。

半兵衛にとってそれは単なるゲームだったのかもしれない。約8ヶ月後に奪取した城を持ち主に返してしまった。しかしそのうわさは瞬く間に近隣諸国に広がり、後に秀吉にスカウトされた。

半兵衛は秀吉に知恵を貸すことを惜しまないが媚びず諂わず。毅然とした態度を崩さない。秀吉はそんな媚びない半兵衛に物足りなさを感じる。このあたりが秀吉の人間臭さと、私が想像する半兵衛のクールな性格がよく現われているようで実に興味深い。

「—半兵衛が、せめてこの将右衛門の半分でもわしにうちとけてくれたら—。」本文より。

読了:1997年 10月