茶の湯。それは戦国時代を代表する文化のひとつであり、大名たちにとっても是が非でも身につけたい嗜みだった。その茶道の権威が本書の主人公、千利休だ。
境の豪商としても知られた宗易(後の利休)だったが、武家育ちの妻お稲の反応は冷たかった。茶の湯では城主になれぬというのが彼女の言い分だ。武将嫌いの宗易が城盗りを考えるはずもなかっただろうが、武将の妹であるお稲にはそんな宗易が理解出来なかった。しかし、宗易はやがて良き理解者と出会う。後の妻おりきだ。彼女は、お稲が相手では満たされなかった宗易の心に充足感を与えてくれた。 続きを読む