麒麟 橋本左内/岳真也

列強の脅威が迫る幕末において開国運動に奔走するが、後に政治犯として処刑され弱冠26歳の若さでその人生を終えた橋本左内の生涯を描いた小説。

医家に生まれた左内はやがて緒方洪庵が開く適塾に入り、そこで蘭語と医学を学んだ。彼は秀才揃いの塾内でもめきめきと頭角をあらわし、将来の名医として期待されるが、やがて政治運動に傾倒し始め、開国派として活動した。 続きを読む

啓発録/橋本左内/伴五十嗣郎 全訳注

藤田東湖、武田耕雲斉、川路聖謨や西郷隆盛など、幕末の大物たちが揃ってその才気、学問、見識に舌を巻いたと言われる橋本左内。その左内が15歳の時に起草したのが本書のタイトルでもある「啓発録」だ。

大別すると「稚心を去る」、「気を振ふ」、「志を立つ」、「学に勉む」、「交友を択ぶ」で構成され、その内容はまさに左内の人生の原点になっているようだ。自らを厳しく律しようとする強い姿勢が感じられるが、それにもかかわらずあまり堅苦しい感じがしなかった。視野が広く、変に偏った見識を持たなかったからだろう。 続きを読む