安国寺恵瓊―毛利の参謀といわれた智僧
三宅孝太郎 PHP文庫
「信長の代、五年三年は持ちたるべく候。(中略)さ候てのち、高ころびにあをのけにころばれ候ずると見え申し候。藤吉郎、さりとてはの者にて候」
信長の絶頂期にこれだけの予測をして見せたのが本書の主人公、安国寺恵瓊だ。本能寺の変はその約10年後に起こり、また藤吉郎(後の秀吉)はその後に天下人となった。
戦乱で父を亡くし、その後は安芸安国寺に匿われた竹若丸(後の恵瓊)だったが、師・恵心との出会いが恵瓊の転機となった。恵心の引き合わせにより毛利元就と出会い、また恵心の導きにより僧侶として成長して行った。毛利の使僧としては内政や外交を担って行くことになるが、本書の第九章「軍師の戦い」では敵方の黒田官兵衛との駆け引きが見られる。そこでは毛利vs秀吉というよりも、まさに恵瓊vs官兵衛といった印象が強かった。
「天下を競望してはならぬ」という元就の遺訓によるためか、積極的に版図を広げるような実際の動きはあまり見られないが、自軍に策を授けるその役割は軍師のそれだ。僧侶大名という自らの立場に悩み、それでも聖俗を両立させてきた恵瓊だったが、関ヶ原では西軍に属し、戦後は石田三成、小西行長らと共に六条河原で処刑された。
読了: 2004年 11月
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