ブラジルから来た少年 アイラ・レヴィン ハヤカワ文庫
小倉多加志 訳
SFサスペンスとでもいうのだろうか。以下、ネタバレを承知で内容に触れますので御了承下さい。
ナチの残党・メンゲレはヒトラーのクローン化に成功していた。生物学的なうんちくをクリアし、最終的に94人の複製人間を誕生させた。無論、彼らの遺伝子構造はヒトラーのそれと同一無二である。メンゲレの野望は複製化によってヒトラーを復活させ再びドイツ帝国を築くことだった。黒人、アジア人、ユダヤ人等を劣等民族と見下し、その一元的な思想で完璧なドイツ人誕生を目指すメンゲレの言動にはいささかシラけてしまう。
メンゲレ等はドイツ帝国再建のために必要な環境をいくつか挙げた。ヒトラー台頭時代と同じような社会情勢の不安、心理学的、遺伝子学的共にヒトラーと同じ人間の誕生など・・・そして誕生させられた94人のクローン人間は該当する環境のもとに送られた。彼等は生前のヒトラーが経験したものと同じ家庭環境の中で育っていくが・・・
近年、クローン羊の誕生により生物のクローン化はもはやSFではなくなった。
この作品は1976年に発表されたようだが、作品内で述べられている生物学的理屈は最近のそれと何ら遜色がないように感じられ、妙にリアリティに富んでいた。
読了:2000年 11月
| 評価項目 | 評価 |
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