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風の男 白洲次郎 青柳恵介 新潮社

戦後のGHQ占領下。進駐軍を向こうにまわし、日本国憲法誕生の瞬間に立ち会った白洲次郎の生涯を綴った人物伝。

がさつな少年時代を過ごした次郎は、中学時代にはすでにアメ車を乗り回していたという。家が裕福だったのだ。彼の父親、文平は米・ハーバード大学を卒業後、ヨーロッパにも留学し、貿易で成功した富豪だった。次郎は中学卒業後に渡英し、ケンブリッジ大学に入学。白洲家に寄宿していた外国人教師に英語を学んだため、渡英時には既に英語が堪能だったようだ。

帰国後、彼は日本の敗戦を早くから予見し、戦後の食料不足に備えて田舎に引き篭り自ら農業を営んだ。が、彼は決して隠棲を決めこんだ訳ではなく、田舎に居ながらも毎朝新聞を読み、中央の情報に目を光らせていた。なにかがあればいつでも中央に出ていけるように、と。
「カントリー・ジェントルマン」
周囲がそう名付けたのか、あるいは自らそう名乗ったのかは定かではないが、いつしかそれが彼の通り名のようになっていた。

敗戦後にはかねてから親交があった吉田茂に請われ、GHQを相手取った外交を展開した。その他、彼の略歴を見ると、溜息が出てしまうほど要職という要職を歴任している。その中には民間企業の取締役、会長や顧問などがあり、また前述したように戦後の外交を担った時もあった。

白洲次郎は、どんな時でも、相手が誰でも物事をずけずけというところがあったようだ。本書に収録されている彼の言語禄を見るとそれがよくわかる。歯に衣着せぬ彼の発言は読んでいて実に爽快だ。だが、関係者達の証言によると、白洲次郎の言葉からは、毒舌ながらも深い愛情を感じさせるものがあったという。

また、本書には彼の写真が幾つか掲載されているが、その顔立ちは、映画「ハスラー」で主役を演じた若き日のポール・ニューマンを思わせる。実に端正で男前だ。本書から感じられる彼の人柄、あるいは人生そのものに、私は素直に憧れた。

読了:2003年1月

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