井伊大老 吉川英治 学陽書房
吉川英治幕末維新小説名作選集「6」
後継ぎ以外はすべて他家の養子になる、或いは臣籍に養ってもらうなどして、決して城内に住むことが許されない。これが井伊家のしきたりだった。そして、どちらも選ばぬものには適当な禄を与え、本人の自由にさせる。そしてそのどちらも選ばなかった男が井伊直弼だった。自ら「埋れ木之舎(うもれぎのや)」と称した家に住み、侘しい生活を送っていた。
ところが、井伊家の後継ぎが間もなくして没してしまった。残された後継ぎ候補者は直弼ただ一人だけだった。ここから彼の人生が変わった。大老になった直弼は、幕府の権威を保つために尊王、攘夷派の志士を弾圧し、独裁的な地位を築いた。
そして長年滞っていた外交問題。開国を迫る西欧列強に対し無勅許で条約調印に踏み切った。水戸、尾張、越前や紀州藩などにとってはまさに挑戦状と言える大胆な行動だった。しかし、井伊大老は一歩も引かない。そして本編は、大老が暗殺されるところで終了する。本編終了後には、「桜田拾遺」と題して桜田門外ノ変にまつわる様々なエピソードが載せられている。本編の内容を思い出しながらそれら挿話集を読むのが楽しい。
大老暗殺のくだりはそれなりに緊張感があったが、迫力と読み応えでは、吉村昭の「桜田門外ノ変」がダントツではなかろうか。
読了:2000年 9月
| 評価項目 | 評価 |
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| 笑えた | |
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