戦国軍師伝―勝機を掴む武略と叡智

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風の如く 水の如く 安部龍太郎 集英社


天下分け目の関ヶ原。東軍vs西軍の構図を思い描くのが一般的だが、実は、その戦を陰で糸引く人物がいた。それが本書の主人公、黒田如水だ。

舞台は関ヶ原直後、徳川家には各地の武将たちからの密告が相次いでいた。彼らは少しでも多くの論功行賞を得ようと、他家を引き下ろすために必死だったからだ。その中には黒田家に関する密告も存在した。黒田家には謀叛の企てがあったというのだ。密告の真偽を調査すべく、徳川家家臣、本多正純は関係者たちとの会見を重ねた。詮議を受けたのは、竹中重門、後藤又兵衛、黒田長政など、いずれも如水の影響を強く受けて育った人物たちだ。数多くの証拠を揃え事実を聞き出さんと意気込む正純と、彼ら容疑者たちとの腹の探り合いが展開される。正純は取調べの際、過度のストレスに体調不良を訴えるくだりがあるが、その詮議の緊張感は読者でさえも胃痛を覚えかねない。

そして肝心の如水の思惑(計略と言うべきか)はこうだ。東軍と西軍を激突させ、互いが疲れきったところを自ら率いる第3勢力でもって両軍を破り、彼が天下人となる。そのためには先ず、東西両軍の力を拮抗させなければならず、如水は二重、三重と様々な策略を巡らせたが、いつ頃からか家康がそれに気付いていた。そしてそれに気付かぬ振りをしていた。家康と如水による水面下での激しい争いに気付かなかった西軍の石田三成は、すでに出遅れていたのだ。

如水の暗躍がどれほど関ヶ原に影響を与えたのか。それは推測の域を出ないが、本書にはそのあたりの想像を掻き立てる要素が数多く見られた。

読了:2003年 10月

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