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啓発録 橋本左内 講談社学術文庫
伴五十嗣郎 全訳注


藤田東湖、武田耕雲斉、川路聖謨や西郷隆盛など、幕末の大物たちが揃ってその才気、学問、見識に舌を巻いたと言われる橋本左内。その左内が15歳の時に起草したのが本書のタイトルでもある「啓発録」だ。

大別すると「稚心を去る」、「気を振ふ」、「志を立つ」、「学に勉む」、「交友を択ぶ」で構成され、その内容はまさに左内の人生の原点になっているようだ。自らを厳しく律しようとする強い姿勢が感じられるが、それにもかかわらずあまり堅苦しい感じがしなかった。視野が広く、変に偏った見識を持たなかったからだろう。

その他には「書簡」、「意見書」、「漢詩」などが収録されている。「書簡」や「意見書」では、内政や外交、また人材育成などに関する左内の考えが印象的だった。控えめな表現で書かれた文書は主君に宛てたものだが、内容それ自体には媚び諂いや妥協が無く、目上の人間に対しても手厳しい。

1859年、時の大老井伊直弼が断行した安政の大獄によって左内は処刑されたが、もし生き長らえていれば、維新後の明治政府にも充分貢献出来ただろうと思う。26歳で他界するには余りにも惜しすぎる人物だった。

ちなみに、以前図書館で読んだ啓発録は訳文が無いものだった。「日本思想大系」の55巻だったと思う。その資料には高野長英の「夢物語」を始め、渡辺崋山、佐久間象山、横井小楠などが著した思想も収録されており、訳文があれば面白かっただろうと思う。それらがどこまで読めていたのか自信が無かったので本書を読んでみたが、やはり訳文付きの本書の方が読み易かった。

読了: 2003年8月

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 小説「麒麟 橋本左内」 >> 【幕末、維新】


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