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林蔵の貌 新潮文庫


偉大な測量家としての顔を持つ林蔵。だが一方では幕府の諜報員的な顔も併せ持っていた。幕府、水戸、薩摩、ロシア、そして名高い海運業者・高田屋嘉兵衛が蝦夷地の利権を巡り暗闘を繰り広げる。小説ならではの壮大な構成だ。しかし、時折それが事実だったのではないかと思わせる箇所が見受けられた。

物語は蝦夷地を舞台に展開していくが、当時の蝦夷地は幕府にとって微妙な土地だった。管理があいまいだったのだ。そこで蝦夷地の統治を目論んだのが水戸藩だった。薩摩の砂糖と蝦夷地の昆布を取引し、蝦夷地の経済を潤わせ、隣国ロシアに一国家としての蝦夷を認めさせる。しかし、その目論見には薩摩藩が絡み、高田屋嘉兵衛もまた絡む。林蔵はそれぞれの勢力に対して動き回るが、どうにも動きが掴みにくかった。測量家としての彼の偉業は良く分かるのだが、隠密として何をやりたかったのかが良く分からなかった。隠密だからそれでもいいのかな、と思ったりもするけれど。

そして本書における林蔵を始めとする登場人物たちの人物像だが、著者の他の作品にも見られるようにハードボイルド感が漂っていた。

読了: 2003年7月 

茨城県伊奈町の間宮林蔵生家。想像していたよりも屋内は広かった。

隣接する記念館正面の間宮林蔵像。

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ストーリーが良かった

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