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国盗り物語(一〜四) 司馬遼太郎 新潮文庫


物語は大きく分けて、前半の斎藤道三編と後半の織田信長編の二つで構成されている。

まずは前編。戦国でも初期にあたる時代。妙覚寺の法漣房(のちの斎藤道三)が寺を出て乞食生活をしているところから始まる。一介の坊主あがりの乞食が国主を夢見る、といういかにも戦国ロマンを地でいくような話だ。道三の人生は実に慌しい。坊主時代には「知恵第一の法漣房」と呼ばれたほど頭の切れる男が、寺を出たのちに京の油商・奈良屋をのっとり莫大な資産を手に入れた。そうかと思うと今度は美濃へ渡り、策略の限りを尽くして土地の権力者を追い出し、ついには国主に成り上がった。と、ここまでの流れは一気に読みきってしまった。著者はしばしば、道三とほぼ同時代に生まれたイタリアの政治思想家マキャベリを道三と重ねていたが、道三こそ、マキャベリの思想を体現した真のマキャベリストだったようだ。

そして後編。織田信長の登場である。

この時代、道三の思想を受け継いだ人間が二人いた。道三の文化や風俗、儀式などといった学識的・有職的な部分を受け継いだのが明智光秀ならば、古い悪習慣を打ち破る革命思想を受け継いだのが信長だった。信長は、身内からさえうつけ呼ばわりされながらも、戦果を上げることで次第に地盤を固め勢力を拡大していった。そして長年放浪生活を送っていた明智光秀を召抱えた。光秀はかなり優秀な武将だったようだが、形式ばった儀式を重んずるところがあり、新しいもの好きの信長とはそりが合わず、だいぶいじめられていたようだった。また、部下を使い捨てにする信長をみて光秀は危機感を覚えるが、案の定、さんざん織田家に尽くしたあげく、追いこまれてしまった。精神的にも、である。その後、光秀がとった行動については皆様もよく御存知でしょう。本能寺の変です。そして光秀が討ち取られるところで物語が終焉を迎える。

その他、脇役として注目したいのが細川藤考(のちの幽斎)だ。彼は足利時代から関ヶ原以降まで生き抜いた。それだけで驚嘆すべきことであろう。著者はあとがきにおいて、「もはや至芸といっていい生き方の名人であろう。」と藤考を評している。

読了: 2001年 8月

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