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レイチェル・ウォレスを捜せ ロバート・B・パーカー ハヤカワ文庫
菊地光 訳


私立探偵・スペンサーシリーズ。

今回の依頼人、レイチェル・ウォレスは女性解放論者であり、またレズビアンでもあった。彼女の著作物や他メディアを通した発言が米国社会に与えた影響は必ずしも全国民に歓迎されるものではなかった。性差別の実態やレズビアンであることによって受けたある種の差別が暴露されることで困惑する人々が存在していたのだ。そんな人たちから脅迫を受けた彼女がボディガードとして依頼したのがスペンサーだった。

しかし、そんな依頼人とスペンサーはどうにもそりが合わなかった。女性解放論者である依頼人が嫌悪していた多くの事が、スペンサーのスペンサーたる所以であるその行動原理だったからだ。例えば、暴力や過度の男性誇示などがそうだ。スペンサーが肉体的なダメージを被ることは同シリーズの他作品でも良く見られる。しかし、本書で注目したいのは、スペンサーの精神面がレイチェルの持つ哲学・思想に完膚無きままに叩きのめされるところにある。二人の間に決定的な軋轢がありながらも関係は続いて行く。

そして物語の終盤、二人はそれぞれの主張を貫きつつもお互いを認め合うのだった。

読了:2003年 8月

そのレイチェルが、別作品・「残酷な土地」でも冒頭に登場し、彼女の知人を依頼人としてスペンサーに紹介する。依頼人の名はキャンディ・スロゥン。テレビ局の記者を務めるキャンディが、ある不正事件を嗅ぎ付けたのだが事件の当事者たちはみすみすキャンディを自由に動き回らせるようなことはしなかった。身の危険を感じたキャンディを護るべくスペンサーはロス・アンジェルスへ。

自ら女であることを利用して捜査を進めるキャンディ。手段はどうあれ社会的な成功を修めようとする独立心旺盛な女性は、まさにレイチェルが応援したい人々の対象のひとりであろう。しかし、作品の結末はどうか。その結末を知ったレイチェルの反応は書かれていないので読者が想像するしかないのだが・・・

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