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オシムの言葉 木村元彦 集英社文庫


サッカー元日本代表監督、イビチャ(イビツァ)・オシム。数年前のJ-リーグで躍進したジェフ千葉の監督をも務めていた事で日本でも注目された同氏。そんな彼の魅力が自身の語録を通して伝わってくる一冊だ。

インタビュアー泣かせの偏屈者。

それがテレビを通して伝わってきたオシムの印象だった。質問の内容にも依るのだろうが、通常のプレスではなかなか見られないような掛け合いがあった記憶がある。視聴者受けするコメントを用意する必要はないと思うが、質問に変に噛み付かずに普通に答えておけば良いではないか、などと思ったこともある。

しかし、それはあくまでテレビを通しての事。本書では彼の言動の真意が、自身のキャリアで培った哲学や故郷の複雑な境遇などによるものであったことが良く分かる。オシムが率いたチームが常勝軍団に変貌し、また多くの一流選手が「最高の指導者」と慕う理由も本書を読めば理解できる。
オシムのチームはとにかく良く走る。相手チームの選手より多く走ればプレーに余裕が持てる。判断力を養うトレーニングも取り入れていたようなので、局面でそれを実践出来れば強くもなるだろう。得点に至るまでの連動性は「考えて走る」サッカーが結実した証左だ。

急性脳梗塞により病床に伏したオシムは、日本代表監督続行を断念せざるを得なくなってしまった。オシムの目指すサッカーを代表選手が少しずつ体現しつつある兆しが見られた時期だっただけに残念だった。

読了:2008年7月

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