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天狗争乱 朝日文庫


過激な攘夷論者たちの間で最も過激といわれた水戸藩。その中に苛烈を極めた武装集団がいた。天狗党。彼らは筑波山で挙兵し、例幣使道を通り日光東照宮を目指した。栃木町、宇都宮、鹿沼、今市などを通るが、彼らは行く先々で住民たちから恐れられ、また時には地元住民から圧力を受けるなどして、厄介者の印象が拭えない。しかし、やがて軍律を正した天狗勢は、一部の攘夷思想家や住民たちから支持を受けはじめた。そして一行は京都を目指すが幕府追討軍が天狗勢を追い詰めた。攘夷を貫いたゆえの不遇、頼りにしていたはずの人間による土壇場での裏切り、幕末の世が抱える大いなる矛盾。そんなことを考えながら本書を読み、物語が終わりに近づくにつれ、なぜか赤報隊の相楽総三を思い出してしまった。そうだ、彼を主人公に描いた小説草莽枯れ行くをもう一度読んでみよう。

「白い衣服を着て切腹の座についた頼徳は、江戸に向かって三回頭をさげ、

思ひきや野田の案山子の竹の弓

引きも放たで朽ち果てんとは

という辞世を口ずさみ、切腹した。」本文より。

水戸藩所縁の弘道館。館内には藤田東湖、武田耕雲斎、徳川斉昭、徳川慶喜などの肖像画を始め多くの資料が展示されている。水戸藩主体の小説を読んでここを訪れると感慨深い。

読了:2000年 3月

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