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高熱隧道 吉村昭 新潮文庫


昭和11年8月、富山県黒部峡谷で着工された発電所電源開発工事は、大自然の脅威と闘いながらの難工事となった。多くの困難に直面しながらもその工事に立ち向かった人々を描いた小説。

トンネル工事を続ける人夫たちを最も苦しめたものは、摂氏165度にもなる岩盤の温度だった。坑内温度も高いところで60度を超えていた。坑内にいるだけでも火傷を負う。熱気を逃がすために堅坑を掘り下げる、人夫たちの体温を下げるために谷川から吸い上げた冷水をかける、等さまざまな工夫を凝らし工事を続けた。しかし、安全基準とは程遠い環境での作業は様々な事故を招いた。雪崩による宿舎の崩壊や、高熱が招いたダイナマイトの自然発火など、人夫たちの犠牲者が相次いだ。

昭和15年11月の完工までには4年以上の歳月と、300名以上の犠牲が費やされた。それでもなお、史上類を見ない難工事を完工させたいという執念が、彼らを隧道工事に駆り立てた。

読了:2003年 3月

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