新撰組。当時はその名前を聞いただけで倒幕派の浪士たちは戦慄した。そんな屈強の剣客集団の興亡を描いた小説だ。
物語は土方歳三を中心に展開していく。武州多摩で生まれ育ち、ごろつきのような生活を送った歳三。近藤勇や沖田総司らとともに天然理心流を学んだが、それは、桂小五郎に代表される神道無念流や坂本竜馬に代表される北辰一刀流などに比べると、世間の認知度が低い田舎剣術だった。しかし、真剣での闘いは滅法強かった。食えない貧乏道場だったが、やがて京都守護職会津中将様御預浪士という法的・金銭的な後ろ盾を得るに至った。新撰組の誕生である。 続きを読む