孫子/海音寺潮五郎

「孫武の巻」と「孫繽の巻」の2部構成になっている。「孫武の巻」では兵法書の著者とされる孫武が登場。呉と楚が争っていた時代だ。呉に仕えた孫武だったが、物語の前半に孫武の兵法家としての見せ場はほとんど無い。それでも、地形や古代の戦争を丹念に研究する姿に来るべき孫武の、あるいは兵法書の活躍を予感させる。

物語の終盤「孫繽の巻」では孫武の子孫、孫繽が登場。「繽」の字は「糸へん」ではなく「月へん」が正しいらしいが、作品中では著者の意向により「繽」となっている。孫繽の家では家法扱いされていた孫武の兵法書だったが、遊び呆けていた孫繽には興味の無い代物だった。書物の研究に真摯に取り組む友人の熱心な勧めにも乗らなかった。それでも、その友人は孫繽が時折見せる才能の片鱗を認めていた。 続きを読む

孫子/金谷 治 訳注

古代中国で著され、なお現代においても読み継がれている孫子の兵法。

兵法というだけに、その内容は戦の指南書のようだが、少し見方を変えれば現代生活のあらゆる状況にも応用出来そうな部分もある。無論、それをどう運用するかは人それぞれだ。本書が中国古代兵法書の最高峰とされているようだが、一読してみるとその理由が少しはわかる。 続きを読む