天翔ける倭寇/津本陽

戦国時代、富を求めて海へ出た海賊・倭寇を描いた作品。

海上でのみならず大明へ渡ってからも連戦連勝の彼らだが、次第に郷愁の念が漂いはじめた。しかし、誰もそれを口に出せなかった。それがかえって郷愁の念を増すことになるのだ。そう思いながら私はこの作品を読んでいた。 続きを読む

安国寺恵瓊―毛利の参謀といわれた智僧/三宅孝太郎

「信長の代、五年三年は持ちたるべく候。(中略)さ候てのち、高ころびにあをのけにころばれ候ずると見え申し候。藤吉郎、さりとてはの者にて候」

信長の絶頂期にこれだけの予測をして見せたのが本書の主人公、安国寺恵瓊だ。本能寺の変はその約10年後に起こり、また藤吉郎(後の秀吉)はその後に天下人となった。 続きを読む

風の如く 水の如く/安部龍太郎

天下分け目の関ヶ原。東軍vs西軍の構図を思い描くのが一般的だが、実は、その戦を陰で糸引く人物がいた。それが本書の主人公、黒田如水だ。

舞台は関ヶ原直後、徳川家には各地の武将たちからの密告が相次いでいた。彼らは少しでも多くの論功行賞を得ようと、他家を引き下ろすために必死だったからだ。その中には黒田家に関する密告も存在した。黒田家には謀叛の企てがあったというのだ。 続きを読む

軍師 竹中半兵衛/八尋舜右

長年、青びょうたんのうつけものを装ってきた半兵衛が、僅か十六名の手勢を率いて主人の城 (稲葉山城) を一夜にして奪い取る。

半兵衛にとってそれは単なるゲームだったのかもしれない。約8ヶ月後に奪取した城を持ち主に返してしまった。しかしそのうわさは瞬く間に近隣諸国に広がり、後に秀吉にスカウトされた。 続きを読む