舞台は江戸時代前期の仙台藩。伊達騒動という、一連のお家騒動に関わった宿老の原田甲斐が主人公だ。この騒動の背景には幕府の老中・酒井雅楽頭と仙台藩主一族の伊達兵部との間に交わされた仙台藩六十二万石分与の密約があった、というのが本書の設定。
伊達家に混乱をもたらすための陰謀の手始めとして、藩主・伊達綱宗の強制隠居があった。淫蕩が理由とのことだったが、その廉で綱宗の側近四名が「上意討ち」にあう。この事件で惨殺された彼ら四名の家族のうち、新八や宇乃といった人物が後にこの物語を彩っていく事になる。(決して復讐劇になるわけではないが。) 続きを読む