山椒魚戦争/カレル・チャペック

人間との出会いによって高度な文明を手に入れた山椒魚。その山椒魚がやがては人間の存在を脅かすというSF小説だ。

デヴィル・ベイ(魔の入江)に生息する黒い生物。上体を左右にくねらせながら不思議な歩き方をするその生物にJ・ヴァン・トフ船長が次第に距離を縮めていく。タパ・ボーイズと呼ばれた彼らにナイフを授けると、やがて貝をこじ開け真珠を採ってきたり、天敵のサメを退治したりと、学習能力が高い事を伺わせる。 続きを読む

ブラジルから来た少年/アイラ・レヴィン/小倉多加志 訳

SFサスペンスとでもいうのだろうか。以下、ネタバレを承知で内容に触れますので御了承下さい。

ナチの残党・メンゲレはヒトラーのクローン化に成功していた。生物学的なうんちくをクリアし、最終的に94人の複製人間を誕生させた。無論、彼らの遺伝子構造はヒトラーのそれと同一無二である。メンゲレの野望は複製化によってヒトラーを復活させ再びドイツ帝国を築くことだった。黒人、アジア人、ユダヤ人等を劣等民族と見下し、その一元的な思想で完璧なドイツ人誕生を目指すメンゲレの言動にはいささかシラけてしまう。 続きを読む