明治29年、昭和8年、昭和35年の三度に渡り三陸沿岸を襲った大津波。当時の記録や体験者の話などから大津波の前兆や惨状などが克明に読み取れる取材記録だ。
津波の前兆の一つとして地震が挙げられるのは良く分かるのだが、本書で述べられているそれはさらに詳細だ。印象に残った例で言えば、例年にない大量の漁獲高や井戸水の渇水・汚濁、急速な干潮、津波直前・直後に聞こえる砲撃音に似た大音響などだ。この作品を読んでいる以上、その後の大津波が当然予想される。それだけに、各市町村の事例を述べられれば述べられる程そんな前兆が不気味に思える。 続きを読む