天に遊ぶ/吉村昭

計21編からなる短編集。1編あたりのページ数は10ページ以内と読みやすく出来ている。なかには著者自身の取材体験や、自身のエッセイ集で扱った題材を基に描いたと思われる作品もある。他には男女の微妙な心理を描いた(あるいは読者に巧みに感じ取らせる)作品もいくつか。

歴史小説やノンフィクションなど、取材調査の上に成り立っている作品を読む時は、自然と肩に力が入りがちだ。しかし、本書は比較的気楽に読める作品といって良い。ちょっとしたリフレッシュが必要なときには良いかも。

気軽に読めるという点では、随筆集も良い。普段の何でもない日常の事や取材時の余話など、その内容は小説のイメージから離れていればいるほど好きな作家をより身近に感じる。

読了: 2003年5月