新史 黒田官兵衛/高橋和島

小説の前半は、軍師としてよりもむしろ一人の人間としての官兵衛が描かれている。官兵衛はある老人との出会いをきっかけに、キリシタン的な精神世界に興味を示し始めた。

その後、交渉に出向いた有岡城で捕われの身となり、獄中生活を送る官兵衛。孤独な獄中生活で味わう様々な葛藤。そこでデウスの教えに強い影響を受け、切支丹になった。また、小説の後半では、彼が秀吉を観察する目が冷静であり、時に冷ややかでさえある。この小説で描かれている官兵衛はしたたかである。そんな官兵衛が好きではあるが。 続きを読む

千利休とその妻たち/三浦綾子

茶の湯。それは戦国時代を代表する文化のひとつであり、大名たちにとっても是が非でも身につけたい嗜みだった。その茶道の権威が本書の主人公、千利休だ。

境の豪商としても知られた宗易(後の利休)だったが、武家育ちの妻お稲の反応は冷たかった。茶の湯では城主になれぬというのが彼女の言い分だ。武将嫌いの宗易が城盗りを考えるはずもなかっただろうが、武将の妹であるお稲にはそんな宗易が理解出来なかった。しかし、宗易はやがて良き理解者と出会う。後の妻おりきだ。彼女は、お稲が相手では満たされなかった宗易の心に充足感を与えてくれた。 続きを読む

竹中半兵衛/高橋和島

僅か16名で稲葉山城を奪った男。半兵衛を語るうえでの代名詞のような武勇伝だが、実際のからくりはこうだ。

半兵衛の弟は稲葉山城に人質に出されてたが、仮病を装う様に言い渡されていた。見舞と偽って半兵衛たちが入城する口実だ。果たして、いざ半兵衛が入城するや、戦闘を始めた。その際、敵の混乱に乗じて、予め城外に待機させていた数千もの軍勢に大声をあげさせた。大軍が攻めこんで来たと敵に錯覚を起こさせ、一層の混乱を招かせたのだった。城外にいた数千の軍勢によって起された大声が、半兵衛の作戦を後押ししたことには違いないが、「僅か16名で難攻不落の城を落とした竹中半兵衛。」と、その名が広められた。 続きを読む