天に遊ぶ/吉村昭

計21編からなる短編集。1編あたりのページ数は10ページ以内と読みやすく出来ている。なかには著者自身の取材体験や、自身のエッセイ集で扱った題材を基に描いたと思われる作品もある。他には男女の微妙な心理を描いた(あるいは読者に巧みに感じ取らせる)作品もいくつか。

歴史小説やノンフィクションなど、取材調査の上に成り立っている作品を読む時は、自然と肩に力が入りがちだ。しかし、本書は比較的気楽に読める作品といって良い。ちょっとしたリフレッシュが必要なときには良いかも。 続きを読む

破獄/吉村昭

昭和11年から22年の間に4度の脱獄を実行した主人公。緻密な頭脳と超人的な体力を併せ持ち、その脱獄の手口は大胆且つ繊細。

クライマックスは3度めに収容された網走刑務所での脱獄劇か。網走刑務所は過去に一度も脱獄の例がなく、また建物の造りも堅牢だった。そこに収容された主人公がいかなる手段で脱獄を試みるのか。看守たちを手玉に取る主人公の言動から目が離せなかった。 続きを読む