四十七人の刺客/池宮彰一郎

「—–随分と減ったものだ。」
吉良邸討ち入り前夜、首謀者の大石内蔵助は脱落者が続出した組の再編成に腐心していた。最後に残った浪士は四十七人。うち、戦力と成り得るのは30人程だった。そして吉良邸を守る相手の数は屈強の百余名だ。

大石内蔵助は敵方に対し巧みに謀略を仕掛け続けたが、実際に討ち入りが始まるのは残りの80ページあたりからだ。そこに至るまでの諜報戦が本書の大半を占める。 続きを読む

菜の花の沖/司馬遼太郎

高田屋嘉兵衛。水呑みとして育ち不遇な少年時代を過ごした。

やがて海運業者になり、命がけの航海を繰り返すことで次第に嘉兵衛の名が知れ渡った。彼の扱う商品にはごまかしがないことから、商人たちからの信頼を得、検査なしでの商品取引を可能にするまでになった。 続きを読む