日常生活を営む以上、霞を食って生きているような隠者の思想を全面的に肯定することは出来ない。思想が掲げる理想が非現実的である場合が多いからだ。だが、我慢しながら読み続けると、時として読者がくぎ付けにされるような鋭い思想の断片を見ることが出来る。敬虔な無神論者から生み出された高潔な精神とでも言えば良いのだろうか。俗人に対して手厳しくもあるが総じて面白い読み物だった。
読了: 2003年6月 続きを読む
日常生活を営む以上、霞を食って生きているような隠者の思想を全面的に肯定することは出来ない。思想が掲げる理想が非現実的である場合が多いからだ。だが、我慢しながら読み続けると、時として読者がくぎ付けにされるような鋭い思想の断片を見ることが出来る。敬虔な無神論者から生み出された高潔な精神とでも言えば良いのだろうか。俗人に対して手厳しくもあるが総じて面白い読み物だった。
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江戸時代(1700年代前半)、武士の心得を説いたひとつの思想体系が誕生した。山本常朝によって(あるいは彼の言語禄を他者が記録することによって)著された「葉隠」がそれである。本書はその研究書である。
山本常朝の生い立ち、「葉隠」の構成、当時の時代背景、そして思想的特徴などで構成されており、その研究範囲は細部に及んでいる。予備知識が乏しい私には時として理解が及ばないところもあった。そこで、特に印象に残った箇所だけを以下に述べたい。 続きを読む
治安の悪化に伴い悪党が現れ始めた鎌倉末期。本書の主人公・赤松円心もその一人だ。物語は播磨を中心に畿内全体へと展開していく。
六波羅探題の荷駄を奪うシーンから物語が始まるあたりがいかにも悪党らしい。しかし、ただの野伏りや溢者とはどこか違っていた。円心の行動には代官への抵抗の意味もあったが、心の中では何か別のものも求めていたようだ。悪党として名を挙げたいという野望や功名心と言うよりも、自分が生きた証のようなものだ。 続きを読む
幕末、維新の混乱期を生き抜いた勝海舟の語録が綴られている。その話題は自身の履歴、古今東西の人物論評、政治論、時評、文化など多岐に渡る。中でも興味深かったのは、幕末維新期の人物論だが、勝は著名人のみにならず、市井の人々たちとの交流についても言及している。明治政府について否定的な意見が多かったのも印象的だ。
本書は勝が晩年に語ったものを編集したものらしいが、中には勝の記憶違いや彼一流の法螺などがあり、史実とのずれが若干見受けられる。また、「氷川清話」が最初に世に広められたのは吉本襄の編集によるものだったようだが、編集の過程において海舟の真意が歪曲され、また改竄著しいとの理由で、江藤淳らに徹底的に洗い直され、再編集されたのが本書だ。 続きを読む