新史 太閤記/司馬遼太郎

日本史上最も出世した人物、豊臣秀吉を描いた小説。

尾張の貧しい農家に生まれ、口減らしの為に寺に出された少年が、後に織田家に仕え、まさに寝る間も無いほど働きに働いた。次第に信長からの信頼を得るようになり、やがて織田家トップの実力者になった。このころの秀吉は誠心誠意で、彼の晩年に見え隠れする嫌味なところを感じない。 続きを読む

麒麟 橋本左内/岳真也

列強の脅威が迫る幕末において開国運動に奔走するが、後に政治犯として処刑され弱冠26歳の若さでその人生を終えた橋本左内の生涯を描いた小説。

医家に生まれた左内はやがて緒方洪庵が開く適塾に入り、そこで蘭語と医学を学んだ。彼は秀才揃いの塾内でもめきめきと頭角をあらわし、将来の名医として期待されるが、やがて政治運動に傾倒し始め、開国派として活動した。 続きを読む

関ヶ原/司馬遼太郎

戦国時代もいよいよ大詰め。秀吉が制覇した天下を誰が治めるのか。石田三成が率いる西軍と徳川家康が率いる東軍。それら両軍が関ヶ原で天下分け目の合戦を開いた。本書はその合戦にまつわる人間模様を描いた小説だ。

兵数や陣形で有利とされていた西軍が負けた。西軍を率いていた石田三成に足りなかったものは何か?決定的に足りなかったものをひとつ挙げると、それは人心の掌握の甘さであろう。 続きを読む

播磨灘物語/司馬遼太郎

物語の主人公は黒田官兵衛。秀吉の軍師として類稀なる才能を発揮し、さらに秀吉の死後は自ら天下を狙った男の生涯を描いた小説。

織田家の家風に新しい時代の到来を予感した官兵衛。しかし、官兵衛が仕えた小寺氏は未だ中世的な風習に固執していた。己の主人を織田家の傘下に加わらせようと奔走する官兵衛だったが、尽力すればするほど疎んじられた。小寺は信長に否定的だったのだ。 続きを読む

近藤勇白書/池波正太郎

「燃えよ剣」、「黒龍の柩」、幕末の新撰組を描いた小説の主人公はいずれも土方歳三だった。しかし、本書の主人公は新撰組局長・近藤勇だ。局長、とは後の肩書きだが、新撰組結成以前は剣術道場・試衛館の主だった。

門弟たちに慕われていたのだろうか、永倉、沖田、土方などが近藤に接する言葉や思いには屈託がなく、また深い親しみを感じる。近藤は朧気ながらも志を立て、やがて新撰組を結成し活躍が認めらた。しかし、近藤が出世しようとも彼らの近藤に対する気持ちは変わらなかったようだ。近藤が身分相応にどれだけ威風を正そうとも、門弟たちはどこか彼を茶化してしまうのだ。その様子がどこか微笑ましい。試衛館時代の「近藤さん」のままでいて欲しかったのだろう。 続きを読む