軍師 竹中半兵衛/笹沢左保

「荒馬を乗りこなすのが楽しいだけで、馬を飼うのは性に合わぬと、半兵衛はいう。天下を治めるのは馬を飼うことに似ている。」バックカバーより。

半兵衛は、稲葉城返還後に隠棲生活を送っていた。厭世的な生活をつづける毎日。ある日、猿面の男が半兵衛を訪れる。半兵衛を軍師として迎えたいという。これは三国志の「三顧の礼」を地で行くような話ですね。劉備が諸葛孔明を軍師として迎えるあの話。 続きを読む

軍師の境遇/松本清張

秀吉に仕えた軍師・黒田官兵衛の生涯を描いた小説。天才軍師・竹中半兵衛と入れ替わるようにして秀吉の軍師になった。秀吉が信長に仕えていた時代、交渉に出向いた有岡城で捕われの身となり獄中生活を送った。戻りが遅いため信長に裏切り者と怪しまれ、危うく見殺しにされかかった。さらに、倅までもが生命の危機にさらされた。切れ者であるが故に疑われやすい。そんな軍師の不遇、と言ったところか。

読了: 1993年

小説 直江兼続 —北の王国—/童門冬二

上杉謙信、景勝に仕えた参謀、直江兼続を描いた小説。

兼続のもともとの出身は樋口家で、幼名を与六といった。直江家の後継ぎが早世したため、養子となったのだ。実力が買われ家臣の中でも高いポジションを得たが、彼の出身を知る他の家臣団からの視線は冷たかった。成人した後も「与六」と陰口をたたかれることもしばしばあった。決して居心地の良いものではなかっただろう。しかし、謙信の死後も上杉家の主人、景勝を支え名参謀としてその名を世間に知らしめ、秀吉、家康をも唸らせた。 続きを読む

新史 黒田官兵衛/高橋和島

小説の前半は、軍師としてよりもむしろ一人の人間としての官兵衛が描かれている。官兵衛はある老人との出会いをきっかけに、キリシタン的な精神世界に興味を示し始めた。

その後、交渉に出向いた有岡城で捕われの身となり、獄中生活を送る官兵衛。孤独な獄中生活で味わう様々な葛藤。そこでデウスの教えに強い影響を受け、切支丹になった。また、小説の後半では、彼が秀吉を観察する目が冷静であり、時に冷ややかでさえある。この小説で描かれている官兵衛はしたたかである。そんな官兵衛が好きではあるが。 続きを読む