成りあがり/矢沢永吉

歌手・矢沢永吉の半生を描いた自伝。

貧しい少年時代に屈辱を味わい、やがてスターを夢見て上京。アルバイト生活からメンバー集めを始め、バンドを結成。腕の立つギタリストやドラマーを引きぬき、ロックバンドとして次第に頭角をあらわす。

キャロルの結成から解散、そしてソロ活動開始に至るまで。文字通り、ゼロからスーパースターになり上がった本人が書く口語的な文体は、ある意味で小説よりもドラマチックだ。

いつかは読もう、と思いつづけてはや10年が過ぎた。忘れかけた頃に発見するのは世の常であろうか。でも10年前に読んでいたら、きっと感想は違ったものになっていただろう。

「銭が正義だ。こう思ってしか生きてこれなかった。ほんとは銭が正義だなんてウソなんだ。それは良く判ってる。でも、そう思わなければ生きてこれなかった自分に腹が立つ。」本文より。

読了:1999年 9月