五代将軍・綱吉の後継者問題に一騒動を巻き起こした元凶の人と言われる柳沢吉保。しかし、それは俗説のようで、真相は違うところにあったようだ。
物語の前半は綱吉が幅を利かせている。後世においても悪評高い生類憐憫令や愛犬令などが発令されるに至った経緯などが描かれ興味深いが、そこには綱吉の取り巻きによる権謀術数や彼の人的欠陥が起因しているようだ。綱吉の言動には上様としての資質のみならず、人道的なモラルの有無すらも問わざるを得ない多くの疑問点が見受けられる。綱吉の下で奉公する実直な忠臣が登場するのだが、彼らが実に不幸なのだ。読んでいて辛い。その忠臣が被った事件こそが、著者の言わんとしている真相に大きく絡んでいるのだが。 続きを読む