死ぬことと見つけたり/隆慶一郎

武士道とは死ぬことと見つけたり。

鍋島藩浪士、斎藤杢之助は「葉隠」を武士の哲学とし、死人としての生を送る。また彼は鉄砲の名手であり、そのいくさ人としての心意気が作品の至るところで見受けられた。同じく鉄砲の名人、下針金作や、「心の一方」の使い手である松山主水との決闘はなかなかにきまっていた。 続きを読む

花と火の帝/隆慶一郎

駕輿丁として禁裏勤めをする八瀬村の一族。彼らは八瀬童子と呼ばれ、表向きには天皇の輿をかつぐ役割を担い、裏では天皇方の諜報活動も行っていたというのが本書の設定だ。その八瀬村から5歳の少年・岩介が突然姿を消した。

幼馴染の「とら」と雪山で遊んでいる時に並外れた体術の持ち主に遭遇し、その術を学ぶために八瀬童子の故郷(朝鮮)に渡ったのだ。その体術の持ち主は自らを天狗と称し、「鬼道」といわれる不思議な術を身に付けていた。 続きを読む

柳生非情剣/隆慶一郎

チャンバラ小説。もともとチャンバラ小説はあまり読まないが、隆慶一郎が書いた本ならそれなりに面白いだろうと思い読んでみた。いくつかの章にストーリーが分かれており、その中からとくに印象に残ったものをいくつかを紹介したい。

子供にいじめられる不敏な呆け老人、「あほの太平」が登場する章、「柳生の鬼」では、その「あほの太平」の実体に驚かされ、また、足の自由を無くした柳生新次郎のやりきれない心情を描いた章、「跛行の剣」を読んだ時には、心が掻き毟られた。 続きを読む