凶作続きで百姓一揆や打ちこわしが各地で相次いだ天保年間。物語の舞台である薩摩藩は比較的恵まれていたものの、農民たちの離散が続いていた。その対策として水路開削などの開墾策を立案・成功させたのが本書の主人公・源昌坊だ。
様々なハードルを乗り越え工事を成功させていく源昌坊らの様子を見ていると、達成感を味わうことが出来る。しかし、それだけで終わる小説ではない。この主人公、少々女癖が悪いのだ。小説に華を添えるロマンスと言えるものかどうか。あちこちで娘たちを夜這いする事を否定するつもりはないが、人妻にも手を出してしまうのだ。不倫。もう見境がない。 続きを読む