項羽と劉邦/司馬遼太郎

めっぽう戦に強く負け知らずの項羽と、戦えば必ず負ける劉邦。この二人が秦帝国末期に現われ、覇権を賭けた争いを繰り広げる。

負け続けてきた漢軍が最後に逆転できた理由はなんだったのか。劉邦は出身を問わず才あるものを積極的に採用した。一方項羽は武力を重視し、さらに能力を問わず地族、血族を軍で重用したがそれがいけなかった。無能の者が重役になってしまったからだ。

楚軍に仕えていた有能な人材は次第に項羽のもとを離れ、そして劉邦率いる漢軍には有能な策士が集まった。項羽は武勇でもって将兵に慕われていたが、情勢が泥沼化してくると意外と脆かった。戦闘だけでは局面を打開できずに追い詰められた時、楚軍には泥試合に強い策士がいなかった。

読了: 2001年11月