縄田一男。一人の時代小説ファンとして彼の名前くらいは知っている。ひとり読後の余韻に浸っている時に解説者として最後に登場するのが本書の著者、縄田一男である場合が多いからだ。本書にはおよそ500作品、250人の作家が紹介されている。
当サイトで特筆している好きな作家たちについても言及されていが、良い事が書かれていればやはり嬉しいものだ。舌足らずな一読者には表現できない事を書いてくれているので、
「そうか、そういう事か、そうそう、そういう事」
などと納得しながら読み進めて行ける。
以下、本書のタイトルにもっとも相応しいと思われる記述を紹介したい。
「おそらく、時代小説を書く、そして読む醍醐味とは、そうした限りなく現代に近いものと遠いものが醸し出す振幅の中に己自身の身を置いてみることにあるのではないだろうか。」
読了: 2001年 1月