ジョン万次郎こと中浜万次郎の生涯を描いた小説。
鰹船の乗組員になり海へ出たが、初めての航海で船は遭難し無人島に漂着。通りかかった米国の捕鯨船、ジョン・ハラウンド号に助けられ船長ホイットフィールドの好意で共に渡米した。
捕鯨を手伝いながら生きた英語を身につける万次郎。やがて航海士学校の選抜試験に合格し、航海技術や測量を学び、やがて鎖国された日本へ命がけで帰国。帰国後、当代きっての西洋通として日本の近代化に尽力したが、米国文化に慣れ親しんだ万次郎は日本での生活に戸惑いを見せた。
風通しの悪い封建社会に嫌悪感を抱いたのは、むしろ当然のことだったのかもしれない。 その後、咸臨丸に乗り再渡米するが、同乗した勝海舟は威張るか船酔いするかでほとんど役に立たず、文字通り「お荷物」だったようだ。
また、司馬遼太郎箸「竜馬がゆく」において万次郎はこう評されている。
「「そういう人物が、鎖国時代に、「漂流」という偶然の機会で北米大陸の文明を見、しかも、ペリー来航さわぎの寸前にもどってきたというのは、日本の幸運というべきだったろう。」」
読了:1999年 4月