当時としては珍しい文武両道の人物であったようだ。信長自身が軍師を必要としていなかったようだが、光秀は確かに知的戦略を得意としていたようだ。
明智光秀=南光坊天海説を地でいく小説。小説のテーマとしては夢があって最高に面白く、実際にこの小説は面白い。しかし、本能寺の変の後に天海として身を変え、家康に仕えるまでの接点にいささか無理を感ぜずにはいられない。
常に開拓者であり続ける野獣性の信長との確執が、古きを重んじるインテリ派の光秀を次第に追い詰めていった。信長にとりたてられ次第に頭角をあらわし、期待に応え続けるライバルの秀吉を、光秀はどんな思いで見ていたのだろうか。
読了: 1992年