武家による一元的支配を目指す信長と、それを阻止しようとする朝廷との争いを描いた小説。
織田軍団は近隣諸国を平定し、朝廷をも乗り越えようとしていた。しかし、武力を持たない朝廷は様々な策略を用いて権力奪回を企てた。数々の政治的駆け引きのすえ、朝廷は明智光秀を反信長勢力に抱きこむことに成功した。そして秀吉もその計画に内応していたようだったが、著者は「関ヶ原連判状」でも同じような説を用いていた。
文化人たちとの連歌の席で光秀は信長打倒の決意を示すが、「ときは今・・・」で始まるあの有名な歌には様々な解釈があるようだ。本書では一句ごとに著者の解釈が施されているが、司馬遼太郎著「国盗り物語」の同じシーンでは、同じ歌に対して異なった解釈が見られた。両者の解釈を読み比べてみるのも興味深い。
読了: 2001年 9月