孫子/金谷 治 訳注

古代中国で著され、なお現代においても読み継がれている孫子の兵法。

兵法というだけに、その内容は戦の指南書のようだが、少し見方を変えれば現代生活のあらゆる状況にも応用出来そうな部分もある。無論、それをどう運用するかは人それぞれだ。本書が中国古代兵法書の最高峰とされているようだが、一読してみるとその理由が少しはわかる。

原文、読み下し分、そして注釈に続き現代語訳が記されているので理解はより深まるだろう。僅かながらの語句ではあるが、原文からある程度内容が読み取れるところにこの手の古典を読む楽しさがある。しかし一方で、現代語訳を読んでもなお理解が及ばないところがある。それが古典を読む難しさだ。孫子を読む難しさと言い換えてもいい。十三篇から成る本書は比較的薄手の本だが、その一篇を読むのが意外に骨が折れる。適当に読み飛ばすことが許されない何かが感じられるのだ。

これまでは、どこか訓戒めいたイメージがあったために敬遠しがちだったが、読まず嫌いでいたそんな自分が悔やまれるような1冊だった。今後は一度と言わずに何度か再読することになりそうだ。きっと読む度毎に意味合いが変わってくることだだろう。

読了: 2004年12月