ファウスト/ゲーテ/高橋義孝 訳

俗に言う純文学だろうか。

話の大半が非常に抽象的であるためか、話の流れがつかみにくく、感想も抽象的である。わかったような、わかっていないような。両手でつかんだものが指の間から擦り抜けていくような・・・ゲーテが著した「若きウェルテルの悩み」のほうがまだ内容を追いかけるのが楽だった。

にもかかわらず、スラスラと読めるのが不思議だった。作品から圧倒的な何かを感じたからだろう。偉大な何かに包まれているような感じになる。本書を読んでいると、文芸書に見られるストーリー展開の巧みさや、会話を読む愉しみなどは霞んでしまう。

私は、文学作品自体をあまり読まないが、その中でも私が夢中で読みふけった数少ない文学作品である。

読了:2000年 9月

他、ゲーテの作品から格言を集めて一冊にまとめたものがある。作品中では見落としがちな名言も、「格言集」として取り上げられると改めてその含蓄の深さに思わず唸ってしまう。常に手元に置いておきたい一冊だ。詩集もオススメ。

以下、最も印象に残った格言をひとつ。

「生活を信ぜよ!それは演説家や書物より、より良く教えてくれる。」

本を読むからこそ、あえてこの格言を選んだ。