小説 吉田学校/戸川猪佐武

戦後の政治史を描いた政治小説だ。

GHQ占領下におかれていた当時の政界の首領が吉田茂だった。彼は池田勇人、佐藤栄作などといった官僚出身の政治家を党(自由党)に入れ、本人の言う「政策型」の政治家を育成した。それが吉田学校だった。新潟から上京し、裸一貫から総理になった田中角栄も吉田学校出身者のようだった。小説の中で登場する若手政治家の何人かは、後に総理大臣になっている。

著者は政治記者出身だが、本書においてはレポート形式ではなく小説のかたちを取ったようだ。幅広い読者を想定してのことだという。しかし、それでも私のような素人には一度読んだだけでは分りづらいものがあった。 勉強の意味で読む分には良いが、小説としてはやや面白味に欠けるのではないか。或いは、将来もっとよく勉強してから再読すれば、より面白く感じることができるのかもしれない。また、本書は映画化されているようだが、それを是非一度鑑賞してみたい。映画だったら内容を把握するのが多少は楽だろうから。

読了:2001年 9月