前作、「騙し人」の続編。
国際詐欺師の被害に遭った零細企業。彼らは警察に訴えるが証拠不十分のためどうすることも出来なかった。しかし、それでもどうにかしたい警察は辣腕詐欺師に協力を頼んだ。その男、足立梵天丸。前作でお馴染みの登場人物だ。しかし、足立は詐欺師を引退し、現在はレストランを経営しささやかな生活を楽しんでいた。
一方の詐欺師、沖田次郎吉は旧友との縁から新たな詐欺活動の展開を目論んでいた。
やがて足立は現役復帰を決意し、沖田たちと共に再びチームを結成した。零細企業を陥れた詐欺師たちへのリベンジは成るのか。また、沖田の旧友を救うことが出来るのか。
相手の心理を手玉に取った交渉術がひとつの見所だったが、そのやり方は著者の他の作品でも見られる。それは詐欺に限らず、何にでも役に立ちそうなテクニックだからだろう。また、詐欺という語感から得る胡散臭さも、登場人物たちには見られなかった。むしろ華麗な仕事人といった印象だ。さらに、単に相手を騙すだけでは終わらないのが著者の作品の特徴のひとつ。騙し取った金の使い道を知り、私は救われた気持ちになった。
読了: 2003年 7月