運命の劇場/落合信彦

務めていた会社を辞め、世界を一人歩きする池浦謙二。旅の途中で、海外で活躍するオイルマン・佐伯剛と出会い、佐伯にすすめられるままにオイルビジネスを始めた。

佐伯に従事することにより自らも成長していく池浦謙二。オイルビジネスに命をかけ、ある程度の成功を収めるがやがて暴走。佐伯の助言を聞き入れなくなった池浦は、やがて大規模なアマゾン開発に乗り出し、世界中を敵にまわしてしまった。好青年だったはずの池浦は変わり果て、佐伯の胸には深い悲しみが…

一方、若き実業家・富島新五は、石油に代わる新エネルギーのプロトタイプを手に入れ、その実用化を巡りアメリカDIAと死闘を繰り広げる。プロトタイプを手に入れたいDIA。DIAにだけは渡したくない新五。新五は、プロトタイプの買取を中国政府にオファーした。中国政府と手を組むことでDIAのオファーを阻もうとするが、DIAは台湾問題を持ち出すことで中国政府を恫喝した。果たして、プロトタイプを手に入れるのは中国か、それともDIAか?

この本は徹夜で一気に読みきった数少ない小説の一つであるが、読後の疲れきった両目に点した目薬が心地よかった。

読了:1997年 8月