サン・フランシスコで射撃場を営む、元米軍傭兵、小暮譲二が、ワイルド・ドラゴンズを率いて再び戦場へと向かった。ターゲットは北朝鮮。作戦のコードネームは、”オペレーション・ターミネーター。”その戦場の描写は、臨場感にあふれていた。
この小説では、北朝鮮を巡る各国の動きが描かれていた。果たしてどこまでが小説でどこまでが真実なのであろうか。真実性と創造性がうまくかみ合った時、作品に迫力がでる。この小説はその典型ではなかろうか。
物語の後半で、帰国した小暮が亡き父親の墓を訪れるシーンがある。寺の住職が、小暮の父親について話す。その話からは小暮が想像すらしなかった父親の本当の姿が現われた。父親を冷たい人間だと思いこんでいた小暮だったが、父親の愛情に初めて気付き思わず涙を流す。このくだりは電車の中で読んだのだが、もし自室で読んでいたら、私は小暮につられて泣いていたかも知れない。
読了:1998年 3月