本を読む本/M.J.アドラー、C.V.ドーレン

読書の意味、種類、レベル(段階)について書かれた本。

テレビやラジオ、雑誌等のメディアから知識を得る事が多くなっている現代だが、それらは積極的な姿勢が求められる読書と違って多くの場合が受身だ。考える作業をメディアが代行しているためか、人々が自分で考え、判断する必要がなくなっているという。本書では、ただ活字を追って知識を得る読書よりも、理解を深め自ら考える読書について重きを置いている。 続きを読む

くろふね/佐々木譲

浦賀奉行の与力として海防を学び、幕末の対米交渉にも携わり、さらには西洋造船も手がけた幕臣・中島三郎助が主人公。

外国船打払冷で出動した際に初めて黒船を間近に見た。それが彼の人生の始まりだったといっていい。海防の仕事で台場に勤め、砲術を会得するが、砲台の貧弱さは歴然。向上心・好奇心の強い三郎助はアメリカ文明の摂取に傾倒した。 続きを読む

峠/司馬遼太郎

越後長岡の一藩士から郡奉行、町奉行、やがては家老、総督に立身し、幕末の藩政改革に尽くした河井継之助が主人公。

冒頭から継之助の苛烈な性格が伺える。
江戸遊学を藩に願い出るくだりも、わざわざ大雪の中で江戸に出発するくだりも、自分がこれと信じた事に関しては行動せずには居られないような人物だ。事なかれ主義に慣れきった周囲からすればちょっとした厄介者であろうことが感じ取れる。その苛烈さは、彼の血肉となっている陽明学が影響しているらしい。よほど強烈なものを内に秘めていたのであろう。 続きを読む

追跡・アメリカの思想家たち/会田弘継

保守、リベラル、さらにはネオコン等、現代アメリカの思想潮流をなした11人の思想家たちについて述べられている。

思想家一人につき約15ページほど割かれているが、内容が濃いためにその1ページ、1行が重い。しっかり理解して行こうと思うならば、関連する副読本も相応に必要となってくるだろう。 続きを読む