坂の上の雲/司馬遼太郎

主役は維新後の明治を駆け抜けた3人。

近代短歌・俳句を確立させた歌人正岡子規と秋山兄弟。日露戦争においてコサック騎兵団を破った兄の好古と、バルチック艦隊を破り日本艦隊を勝利に導いた弟の真之。また、二百三高地を巡る日露の攻防も必読あれ。 続きを読む

項羽と劉邦/司馬遼太郎

めっぽう戦に強く負け知らずの項羽と、戦えば必ず負ける劉邦。この二人が秦帝国末期に現われ、覇権を賭けた争いを繰り広げる。

負け続けてきた漢軍が最後に逆転できた理由はなんだったのか。劉邦は出身を問わず才あるものを積極的に採用した。一方項羽は武力を重視し、さらに能力を問わず地族、血族を軍で重用したがそれがいけなかった。無能の者が重役になってしまったからだ。 続きを読む

司馬遼太郎の随筆・対談集

アメリカ素描 司馬遼太郎 新潮文庫

単なる観光ではない、著者の目から見たアメリカの歴史、文化、文明が訪問先の風景を彩っていく。第二部、「ポーツマスにて」の章ではポーツマス条約調印に奮闘した小村寿太郎についてページが割かれているが、吉村昭の「ポーツマスの旗」を過去に読んでいたので親しみやすい内容に感じられた。

読了:2012年5月 続きを読む

疾走の夏/北方謙三

作家、北方謙三が一人のカメラマンを伴い、シカゴ~ニューオリンズ間ロングドライビングの旅に出た。本書はその時のことを綴ったエッセイ集だ。

当時、著者は免許を取りたてだったらしく、運転の動作一つ一つに対する彼の新鮮な喜びや苦悩(?)などについてを語ったくだりを読むと、私自身の初心者ドライバー時代が思い起こされ思わず笑みがこぼれた。著者の不慣れな運転に半ば脅える同乗カメラマンとの掛け合いトークもまた然り。また、著者はただ走ることを己自身の人生に例えている節が見受けられたが、それには私の心のどこか奥深くに訴えるものを感じた。 続きを読む